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針灸列伝

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中国の鍼灸の歴史

鍼灸は中国の五千年に及ぶ豊かな医学伝統から生まれた治療法です。この歴史は、神農や黄帝といった伝説の帝が治療法を用いていた時代までさかのぼります。黄帝内経には、人体の「気」の流れを整えることが健康の鍵とされ、鍼や灸によって経絡上の「経穴」を刺激することで内臓の機能を調節し、病気を治療すると記されています。時代が進むにつれて、この知識は絶え間なく実践と経験を通じて精緻化され、世界中で尊重される医術へと発展しました。

黄帝内経は例えば、下の文章のように、先生と生徒の会話になっています。

ここから、下は、私のオリジナルですので、気にしないでください。


生徒: 「先生、鍼灸は本当に効果があるんですか?」

先生: 「鍼灸といっても種類が様々だけど、具体的にはどんな鍼灸のことを聞きたいの?」

生徒: 「例えば、体の不調を鍼で直接刺激しなくても、離れた位置からエネルギーを送ると良くなるというものです。」

先生: 「それは昔から日本にもあるね。鍼を使わずに、ただ手をかざすだけで、痛みや不調が和らぐということは、実際にあり得ることだよ。」

生徒: 「それは鍼灸師のエネルギーが送られて、不調の原因を消滅させるということですか?」

先生: 「いいえ、そうではないと思うよ。基本的には、本人の体内エネルギーが自らを癒すのだと考えられる。」

生徒: 「そうすると、鍼灸師が手をかざさなくても良くなるはずですね。」

先生: 「それが難しいところで、必ずしも同じ結果にはならないんだ。」

生徒: 「やはり鍼灸師のエネルギーも影響しているわけですね。」

先生: 「治そうとする意志の誘導によって、自然治癒力は誘発されることがある。その意味では、誰にもその力は備わっているんだ。」

生徒: 「基本的には本人の力で治るということは、自己治療法や呼吸療法に似ているのではないですか?」

先生: 「中国の鍼灸療法の研究者の中には、鍼灸は催眠療法からバイオフィードバック療法に収まると説明する人もいるよ。その考え方には賛成だね。」   つづく。

日本の鍼灸の歴史

日本に鍼灸が伝わったのは、6世紀から7世紀にかけてのことです。その後、日本固有の文化と合わせて、鍼灸は大きく進化しました。特に、微細な鍼の技術や痛みを最小限に抑える方法が発展し、「日本式鍼灸」として独自のスタイルを築きました。日本では、これらの伝統的手法を守りつつ、最新の医学的知見を統合した現代鍼灸が注目を集めています。

日本の鍼灸については、下のコラムにも書いてあります。

東洋医学とは

東洋医学は、身体、心、そして環境の調和が健康を左右するという考えに基づいています。その根底にあるのは、生命エネルギー「気」の流れやバランスが、体と心の状態を決定するという哲学です。鍼灸、薬草療法、気功、食事療法など、多様な治療法がありますが、すべては体内の気の流れを正常に保ち、陰陽のバランスをとることを目指しています。東洋医学は、単に症状の緩和だけでなく、病気の予防と全体的なバランスの維持を重視しています。

はり・きゅう専門院としての基本スタンス

鍼治療をやっているからといって、100%東洋医学が良いと思っているわけではありません。
西洋医学を否定せずに、むしろ積極的に取り入れ、平行した形で、鍼治療が役に立てばよいと、思います。とくに細菌感染は抗生物質のほうが効きますので、薬物アレルギーなどで薬物治療できないかた、妊婦さん以外は病院に行かれるほうがよいです。
毎朝、必ず施術前に太極拳などで練功し、精神統一するのは鍼灸師生活で必須です。特殊な場合を除いて気功そのものを治療に使ったりはしません。

 中医学、漢方には病名がありません。病名のことを証(しよう)と呼びます。漢方医のかたも、みなこれで、苦労します。なぜなら、国家試験に一切、でませんから。
(ちなみに、鍼灸師の国家試験は簡単なものはでます)
鍼灸師は、免許をとったら、まず、弁証ができるように必至で勉強します。何年もかかります。脈診は30年と言われてるくらいで、舌診よりさらに難しいです。

いろいろ弁証方法があるのですが、
やはり、プロは、臓腑弁証だと思います。
すごく難しいですが、これができないと、針はうてません。
漢方を使う医師の先生もこれができないと、とりあえず、処方をだすことになります。
風邪なら葛根湯、→みな冗談で、葛根湯医といます。

漢方の先生から、漢方薬をもらったら、私は、何証ですか?
と、効いて下さい。こたえられないと、とりあえず処方です。
ただ、なぜか、芍薬甘草湯だけは、とりあえずで、効きます。

リクエスト なんその法、がん患者さんや、寝たきりの患者さんの疼痛をなおすための、マインドフルネスです。

医師の監修あり。これだけ覚えれば十分 (初心者のための)
臓腑弁証、厳選32選

時間制ではありません(実際は1時間くらいです。まれに2時間の方もいらっしゃいますが、料金は変わりません)

その方の体調、体質によりますので、時間制はナンセンスな話です。

(鍼治療に慣れた方は、一回の施術で70~80本入れますが、普通は慣れるまでそこまで、やりません。

やりすぎは、当然駄目ですが、その逆も全く効果がでません)

複数の部位でもすべて同じ料金です。
銀針(全身のすべて銀針は効果が期待できないのでやめました)、箱灸、吸い玉、灸頭鍼、パルス治療、パイオネックス、耳針など、いかなる治療を加えても料金は加算されません。

脈診が変ってしまう薬剤  鍼灸師が覚えるべき薬剤その1

施術の流れについて

  1. 問診

    筋・筋膜性の腰痛などあきらかに整形外科疾患と思われるものは、中医学を用いず、トリガーポイントを使います。舌診、脈診などを省略することも多々あります。

  2. 舌脈診

    舌診脈診をして、弁証を立てます。(漢方薬局と同じですが、中医学派は、腹診は、しないこともあります。私はお腹にハリを打つときに触ります。

    院長実践 中医学の舌診の仕方。


    院長実践 中医学の脈診の仕方。

  3. 弁証

    治法をきめます(薬でいう処方のこと。ツボの位置を決めます)。これを失敗すると施術を失敗します。
    院長実践 中医学の弁証の仕方。パーキンソン病

  1. はり施術・施術

    置鍼法、を使います。(例外を除いて抜き差ししません)約15分の置鍼 × 2セット(仰向けとうつ伏せ)が基本になりますが、おそらく施術に入ると手を休めることは一度もありません

      はり治療にかかる時間は30~60分です。おそらくそれ以上になると眠気と疲れが、強く出ます。
      問診、舌診、脈診をいれて1時間弱。その症状に対してですので、時間は全く関係ありません。

      患者さんの体質、体調によって針の材質、種類太さ、深さ、本数が違います。

      腹診その2 楽しく学ぶ腹診 鍼灸治療で大切な切診 日本漢方詳細 (27分) How to acupuncture.

      ●舌診脈診についての注意
      治療前に、デパス、ワイパックス、メイラックスなど、抗不安薬、向精神薬をお飲みになるかたは非常に多いです。脈が変化して脈診がかわりますので、弁証(治療方法も変わります)が変わります。服用された方はいえる範囲で教えてください。

      ※また、脳梗塞、心疾患のため(ワーファリン、バイアスピリンなど)血液をさらさらにする薬を服用されている方は絶対に教えてください。針の種類と、打ち方がすべて変わります。


      いわゆるマイナートランキライザー。ロラゼハム(ワイパックス)

      (ジェネリックは難しいですが、新薬をふくめ精神系のお薬においては、薬の名前と効能、半減期などの情報はほとんど記憶していると思います)

      漢方薬について

      詳細は、院長の同級生の漢方医、小野村先生にお問い合わせください。
      久里浜漢方内科クリニック(小野村雅久 院長) https://www.kampo-kurihama.jp/aboutus/index.html

      小野村正久著

      また、針と漢方薬は処方(針は治法といいます)の仕方が非常に似ています。もし、漢方薬を飲んでいる場合、
      たとえば補中益気湯ならば、41番。ツムラの番号だけでもおしえていただければありがたいです。

         
      私が愛用している、疲れているときに飲む漢方。補中益気湯、十全大補湯。
      保険のつかえることで有名なツムラの漢方薬には番号がついてます。ちなみに有名な葛根湯は1番です。

      大建中湯(だいけんちゅうとう) 西洋医学中心の医師も頻繁に出す、お腹関係の薬です。ノロウイルスは現代医学で治療法がないので、ノロに罹患したとき処方されたりします。大腸ガンの予後で飲んでいる方もいらっしゃいます。

      現在の日本では、ほとんどの漢方薬が医師の処方ですと保険が使えます。値段はそれぞれ薬価と保険の負担が違いますので幅がありますが、一か月3000円~5000円程度の個人負担になると思います。
      (ツムラの顆粒状のものだけでなく、煎じて使う、いわゆる本当の漢方薬にも保険は適応します。当然医師が処方することが必要条件になります。本来の漢方薬は煎じるのに手間がかかりますが、効果は顆粒よりいいようです。都内の某漢方専門クリニックでは、薬にもよりますが、薬代は一か月約3000円くらいになると思います)
      ちなみに、漢方薬は副作用がないと思われがちですが、医学的なエビデンスはありません。
      経験的に漢方薬に副作用はあります。重度のこともあります。
      皮膚などに副作用が出る場合も多々あり、漢方の種類によりますが、下痢は普通に起こったりします。
      医療関係者のかたは、知っていますが漢方薬で間質性肺炎を引き起こした死亡例があります。現在は、小柴胡湯はインターフェロンとの併用が禁止されていますが、漢方薬といえども薬は薬という認識が必要だと思います。

      自宅にある研究用漢方煎じ機械。ツムラを使わないで、本物の漢方薬を煎じる機械です。昔は、土瓶でぐつぐつ煮るイメージがありましたが、今は、象印(とろびらんらん)のようなメーカーで、漢方を煎じることができます。

      不安感やイライラ、抑うつ、不眠などで、よく処方される半夏厚朴湯ツムラ16番。当然、保険適応です。
      ちなみに、喉がガラガラして痛いとき。耳鼻科で処方されるときも多々あります。
      中医学では、異病同治といって、異なった疾患でも同じ薬が効くことをいいます。これは、西洋医学にない概念です。

      芍薬甘草湯(しゃやくかんぞうとう)。写真はクラシエの売薬。足がつるときに使います。西洋医学の医師が、「最も足のつりに効果がある」と口をそろえて言われるのは、この漢方です。あまりに有名すぎて漢方が嫌いな医師でもこの存在を知らない方はいないと思います。当院の患者さん情報ですが、医師に足がつると訴えると、ほとんど保険適応で出してくれます。(副作用や甘草がダメな方はでません)
      即効性があり、知人の医師から「服用後5分で効果がある」と聞いて、耳を疑いました。私も実際に服用して実験しましたが、激痛の中、ふくらはぎがつっている最中でもおさまり驚きました。保険を使わなくても、1200円程度で薬局で購入できます。

      漢の時代に書かれた張仲景の名著。通称、傷寒論。ツムラをはじめ、日本の漢方薬は、ほとんどこの本によるものです。この本の概念、内容が完全に頭にはいっていないと、たとえ漢方専門の医師でも弁証(体の状態をみたてること)をたてることができず処方を間違えるといわれています。読めばわかりますが、風邪ならば葛根湯という西洋医学のような発想はありません。西洋医学とまったく考え方が異なりますので、最初はびっくりします。同病異治、異病同治。針の治療法と非常ににているので、鍼灸治療と相性が良いです。

      医師の監修あり、鍼灸師が知っておくべき漢方薬30選


      ●舌診
      直前にコーヒーをお飲みになると舌の色が変化しますので、お食事されたかたは、教えてください。
      よくある舌。熱証瘀血の例。
      こういう舌のかたは非常に多いです。
      おそらく、「活血」そして「清熱」という
      針の打ち方をします。
      針を使うからといって、イコール東洋医学ではありません。
      舌診、脈診、問診、すべてを診て
      (四診合算といいます)
      針の打ち方を決めます。これが東洋医学(中医学)の針灸の方法です。

      徳川家康と漢方コラム223

      今から1800年前に中国で張仲景が傷寒論を著したとされ、葛根湯などの現在の多くのツムラ漢方薬の配合比率もここに記載されております。日本には漢籍の書物とともに生薬も輸入され、漢方は日本に段階的に伝わりました。固有名詞をもった漢方医の名声が上がるのは戦国時代に入ってからです。その後、江戸幕府を開いた徳川家康が自らの健康寿命の延伸のため、自分で生薬を調合し内服していた漢方マニアだったこともあり、特に江戸時代には多くの学者が出て、漢方医学が発達しました。一方、江戸時代にはオランダから医学が伝えられましたが、江戸時代にオランダ医学を蘭方、それまでの生薬の医学を漢方と呼ぶようになりました。漢方は、中国から伝えられ、日本で独自の進化を遂げ現在に至っています。
      徳川家康は、江戸幕府の初代将軍として、日本の政治・文化に大きな影響を与えました。その中でも、彼が漢方に深い興味を持っていたことはよく知られています。実際に、家康は漢方薬に関する書物を収集し、自身でも薬草を栽培して研究に励んでいました。

      なぜ家康が漢方に興味を持ったのかというと、当時の日本において漢方薬が一般的に使われていたことです。家康が生まれた1567年頃から江戸時代初期にかけて、漢方薬は病気治療に欠かせないものとなっていました。家康自身も、健康維持のために漢方薬を積極的に摂取していたことが伝えられています。

      また、家康は長寿に強い関心を持っていました。彼は「百歳まで生きることを望みます」と語っており、そのためには健康維持が欠かせません。漢方薬は、その時代においても長寿に関する知識や治療法においても非常に重要な役割を果たしていました。家康はこのような背景から、漢方薬に関する研究を深め、自身の健康維持に役立てようとしたのです。

      中高年のアンチエイジングに役立つ漢方薬として知られている「八味地黄丸(はちみじおうがん)」。 なんと、あの徳川家康が愛用していたのだそうです。

      徳川家康は、生涯で73歳まで生きました。彼は1543年に生まれ、1616年に57歳で江戸幕府を開きました。そして、1636年に73歳で亡くなりました。当時の日本において、73歳という年齢は非常に高齢であり、家康が長寿を願っていたことも頷けます。

      お灸と秀吉と茶々のニュース(コラム442)
      兵庫県豊岡市内の旧家で、豊臣秀吉が側室の茶々(淀殿)に宛てた自筆の手紙が新たに見つかったというニュースが、2017年7月15日に報じられた。これは、兵庫県立歴史博物館や東京大史料編纂所の村井祐樹准教授らが発表したものである。

      手紙は、秀吉から淀殿に宛てたもので、淀殿が高熱を出したときに気遣う内容とされる。手紙には、秀吉が淀殿に見せるために能を企画していることや、贈り物として「さいり(サンマ)」を送った旨が記されている。また、茶々が嫌いな「やいと(きゅう)」を据えたことを「大いに満足」と称賛する一文もある。

      手紙は1593年から1596年の間に書かれたものであり、書かれた場所は不明である。手紙は約50センチ四方であるが、中折り部分で2枚に切れていた。手紙が見つかったのは、この旧家が所有する古文書の中からである。村井祐樹准教授らによる調査の結果、手紙は「大高檀紙」と呼ばれる和紙の品質や筆跡から本物であると確認された。

      豊臣秀吉の自筆文書は約100点あるが、淀殿宛ては5点しかなく、貴重なものである。この手紙の発見によって、秀吉と淀殿の関係に新たな一面が見えてきたとされる。

      中国の鍼灸:古代から現代への進化

      古代の起源と発展

      新石器時代から始まる中国の鍼灸治療は、石器や竹針を用いた初期の治療法から発展しました。殷時代には青銅の針が、春秋戦国時代には鉄製の鍼が登場しました。前漢時代(紀元前202年 – 紀元8年)に編纂された「黄帝内経」は、鍼灸治療法の豊富な知識を伝えています。

      鍼灸治療の体系化と改良

      特に明代(1368年 – 1644年)から清代(1644年 – 1912年)にかけて、鍼灸治療は大きな進歩を遂げました。この時期には、もぐさを棒状にして乾燥させた艾条灸が使われるようになり、西洋医学との融合が見られました。

      世界への普及

      隋代(589年 – 618年)や唐代(618年 – 907年)には、鍼灸治療は日本や韓国、ベトナムなどアジア各国に広まりました。

      日本の鍼灸治療の歴史と発展

      遣隋使・遣唐使と中国文化の伝来

      遣隋使・遣唐使は、中国との文化交流を深めるために派遣された重要な使節団です。特に遣唐使は、約20回にわたって派遣され、16回が成功しました。遭難して中国に渡れないこともあるわけですから、まさに命がけの旅だったわけです。遣唐使を通じて持ち帰られた唐文化は、日本の文学、芸術、宗教に大きな影響を与えました。

      鍼管の発明:杉山和一の貢献

      江戸時代(1603年 – 1868年)に、杉山和一(1610年 – 1694年)による鍼管の発明がありました。彼は、鍼管を軽く押すようにして肉を管の中で盛り上げる方法を考案し、第5代将軍の徳川綱吉の病を治療しました。

      日本と中国の鍼灸治療:文化交流の成果

      遣隋使・遣唐使による文化交流は、日本の鍼灸治療に大きな影響を与えました。日本ではより繊細な針技術や特定の症状への特化したアプローチが発展しました。杉山和一の鍼管発明は、日本の鍼灸に独自の特徴をもたらしました。

      「医心方」の重要性

      中央ではたくさんの書籍が残されているのに、日本には医学書がないのではないかと言う話にはなりますが、日本最古の医学書はまだ現存しております。永観2年(984年)、丹波康頼(912年 – 995年)によって編纂された「医心方」は、日本に現存する最古の医学書です。東京国立博物館が所蔵するこの国宝は、日本医学史における重要な資料です。確か私の地元の図書館にも30巻以上の医心法が所狭しと置いてあります。

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